平成22年度関東地区聾教育研究会参加

去る2月2日、都立大塚ろう学校で「平成22年度関東地区聾教育研究会自立活動研究協議会」が開催された。午前は授業見学、その後、ポスター発表があり、午後は分科会があり最後にまとめがあるという一日がかりの研究協議会だった。学校法人江副学園新宿日本語学校からは、来賓として江副隆秀校長が招かれた。校長は、新宿日本語学校の教職員もろう教育と日本語学校の関係を理解してもらうために、教務の栗山英樹先生と、事務の三海友美氏に同行してもらった。

平成22年度関東地区聾教育研究会1平成22年度関東地区聾教育研究会1

平成22年度関東地区聾教育研究会2平成22年度関東地区聾教育研究会2

午前中の授業では、担当の島田先生が可視化された文法である「江副文法」を駆使して実践授業を行い、多くの先生方の関心を呼んでいた。江副校長も「実際に行われている授業が江副文法に忠実であることに感動した」と述べていた。

昼に行われたポスター発表では、大塚ろう学校の理解の下、新宿日本語学校では、一つのブースを構えさせていただき、「重箱カード」や「二列の助詞」の紹介を行うことができた。また、このポスターセッションでは、コンテンツが「江副文法」である東京工科大学のコンピュータソフトや、江東分教室の同じく「江副文法」のデザインを取り入れた発表だった。神奈川県立藤沢養護学校の糠信先生が「キーワードの一つは江副文法ですよ」と以前言われていたのが本当だったのだ、とこの日は実感できたと江副校長は述べていた。

午後の分科会では、大塚ろう学校での実践報告や質疑応答が行われたが、木島先生のご配慮で、江副校長は「は」と「が」の可視化した教授法を紹介する機会があった。

その後、「一民間の教授法が公教育の場で取り入れられることに、問題はなかったのでしょうか」という質問があった。大塚ろう学校の伴校長は、「児童に役に立ついいものは、児童のために取り入れるのが方針」と自ら答えられ、これには更に感動させられた。

新宿日本語学校のろう教育への取り組みは、当時、平塚ろう学校に勤務されていた糠信先生が声を掛けてくださってから既に4年近く経っている。元々1985年頃からブラジルで日系児童に日本語を教える教壇に立ち、1990年から1993年までは、JICA現国際協力機構から日本語指導教師として派遣され、まさに児童のための教育を行って来た。その意味では、児童に対する日本語教育と、可視化した日本語文法の融合で、ろう教育への貢献が可能となったことは何より嬉しいことだ。これからも、教材その他で、可能な限りろう児童のための日本語教育に役立って行きたいと考えている。