日本語教育機関トップセミナー

去る12月6・7日の二日間、両国(東京)の国際ファッションセンターにおいて第11回日本語教育機関トップセミナーが開催された。

 地震、津波、原発、円高という四重苦で外国人学生が減少している日本語学校にとって、今は、厳しい時期だ。しかし、こうした厳しい時期だからこそ情報共有が重要で、今回も、北は北海道から南は沖縄まで107校、延べ111名の参加があった。107校と聞くと少ないように思えるが、過去においては参加校が105校(平成16年)、98校(平成17)ということもあった。また、維持会員数の約四分の一の参加というのも平成16年、平成17年の記録を見ると大差ない。

 昨年の事業仕分けによって日振協の認定事業が否定されたこと。また、3月11日東日本大震災という戦後最大の自然災害を経験した年の年末であること。歴史始まって以来の円高来日のハードルを高くしている結果、学生募集がままならないこと。この三つのことを考えると、この時期、全国から107校もの関係者が集まったことは情報の共有がいかに必要であるかを多くの学校が認識している現れだと思われる。

 更に、昨年同様、実行委員を全維持会員校から公募し、運営は実行委員が行う形が踏襲された。委員長には、ユニタス日本語学校東京校の上田一彦氏が選ばれ、テーマは「日本語教育機関を取り巻く環境と今後の課題」と決定された。

 講演は「ISOにおける語学教育の質保証の動き」(宮澤賀津雄・早稲田大学IT・教育研究所研究員)、「世界の留学生獲得政策とリクルーティングの動向」(太田浩・一橋大学国際教育センター教授)など日本語学校の外部環境を巡るものを中心に行われ、国際的視点から日本語学校の今後のあり方についての討議が行われた。

 二日目の分科会の議題は、「①日本語教育機関の生き残り戦略と特色作り、②日本語教育機関の位置づけと質の保証、③日振協の今後のあり方」の三点。五つの分科会に分かれ,それぞれ討議を行った。  二日間のセミナーを終え、今後は日本語学校の各種学校化や日本からの発信などが課題であると認識された。