尾道特別支援学校で講演を行いました。

去る1月6日、尾道特別支援学校で新宿日本語学校校長を講師に迎え、書記日本語の文法教育に関する勉強会が開催された。

尾道特別支援学校で講演1尾道特別支援学校で講演1

尾道特別支援学校の先生方のみならず、広島南など周辺のろう学校等からも参加者があり、当校からの参加者も含めると総勢45名の大きな勉強会になった。なお、今回の研修会で特筆すべきは、広島県教育委員会事務局教育部学校経営課(東部教育事務所駐在)の藤井悦子総括指導主事が参加されたことだろう。大げさになったのではないかと恐縮したが、逆にそれだけ真剣に取り組まれている姿勢も感じられ、講演者としては嬉しい勉強会でもあった。

今回の使用教材は、できたてほやほやの『あ、じゅうばこ ぬりえ』(日本版)。参加者の中には何回も江副校長の講演を聞かれた方から、初めてこの会に参加された方までいらして、両方に配慮しながらの勉強会となった。また、デジタル教育もいいけれども、現場ではむしろ手作業を伴うアナログなものの方が児童の記憶に残るのではないかと江副校長が考えていることもあり、先生方にも直接色鉛筆を利用していただき、各重箱を塗る作業もしていただいた。

昨年来、筑波大学附属聾学校(市川)の金子先生がデジタル補聴器で、かなり聴覚教育の環境が変わったと指摘された経緯もあり、ろう学校においてもサウンドリーダーを利用した教育の可能性もあるということで、サウンド・カード・プリント・ライトの実演も行った。このため、東京から確実に音が出るプリンターも持参した。いずれにせよ、様々な手法、観点からろう教育の一部に迫ろうというもので、そうした試みはお伝えすることができたのではないかと思っている。講演は1時半から4時まで、時間いっぱいしてしまったため、質疑応答の時間は殆どなくなってしまった。しかし、今回の研修会が今後の教育に繋がるであろうと信じ、来年に向けても更に精進して行きたいと考えた次第だ。

尾道特別支援学校で講演2尾道特別支援学校で講演2

最後に、藤井総括指導主事とお話しした時に、「この考え方は、一般の児童向けにも役に立つのではないか」と話されていたことが印象に残っている。現在、普通学級の子供達も、わかる子からわからない子の幅が広過ぎて、教育現場はその対応も大きな課題だという。やはり、母語についてはっきり、そして、明確に知識を持っていないと、自分の考えを表現することも難しいのが実態だ。そういう意味では、「江副文法」はかなり役に立つ側面があるのではないかと思っている。