今度は私が恩返しをする番です

地震と原発の影響で帰国する学生が相次ぐなか、「日本に残り、ボランティアをしたい」と申し出た学生がいた。  初級Ⅱの劉宏駿さん、中国の学生だ。  驚いて聞いてみるとお父さんから、「今、中国に帰るのではなく、日本が大変な状態だから、現地でボランティアをしなさい」と言われたそうだ。 本人も「自分もそれがいいと思う。ボランティアを是非したいが、どこに行ったらいいのかわからない」とのことだった。  そこで、校長が以前から連絡があった「日本ユニバーサル・デザイン研究機構」の震災対策チーム・上野清彦コミュニケーションマネージャーに連絡、早速、ボランティアの面接を実施していただいた日本へ来て半年の劉さん、新宿日本語学校の事務所スタッフの通訳を時々交えての面接となった。 「地震は怖くない?」 「怖くありません」 「どうしてボランティアをしようと思ったの?」 「日本へ来たばかりのとき、日本人にお世話になった。今、国に帰るのは恥ずかしい。今度は自分が日本人を助けたい。」 「被災地はリスクが大きいから、東京で作業をしてもらうことになると思う。地味で大変な作業が多いし、体力も必要だけど大丈夫?」 「大丈夫です。」 「今ボランティアの中に中国語が分かる人がいない。ボランティアをしているとき、日本語が分からなくて困ったらどうする?」 「…辞書を毎日持ってきます。」 「一緒に頑張りましょう。」 「頑張ります。よろしくお願いします。」最後はかたい握手となった。 新学期が始まるまで毎日、朝9時から夜6時までのボランティア。家から片道1時間以上かけて通う。今回は、被災地に援助物資を運び、そこで必要な物を聞いて、また次の援助物資を運ぶという活動等を行っているという。  校長が上野清彦氏にその後電話で様子を問い合わせたが、「日本人の若い人と混じって、一生懸命頑張っています」ということだった。 大変だと思うが、頑張ってほしい。