ろう教育

新宿日本語学校は40年以上にわたり、外国人留学生の日本語教育に携わってきています。しかし、この新宿日本語学校はさらに一歩進んでいます。東京で留学生に日本語を教える以外にも、ろう教育にも取り組む事で日本の発展に貢献する事を目標としています。

ろう教育

きっかけ

神奈川県のある ろう学校の先生が校長である江副隆秀の著書を読み、当校主催の集中講座に参加されたことを契機に、当校と ろう学校との協調学習が始まりしました。

実践授業を重ねるにつれ、江副式教授法が、ろう児童に対する教授法としても非常に有効であると、現在では複数のろう学校に江副式教授法が採用されると共に、ろう学校の間で注目されるようになってきました。

ろう児童と外国人学生の共通点

両者の間には、一見何の共通点もなさそうに見えますが、実は共通している点が多くあります。 外国人学生は、ネイティブの日本人と比較して、日本語を聞く量が圧倒的に少ないため助詞の使い方などをよく間違えます。この点はろう児童にも共通していて、ろうの子供たちもまた聞く量が不足しているために、助詞の使い方を間違えることがよくあります。

江副式教授法は、日本語の品詞を色分けし、絵と図(重箱カードなど)を使って文法を可視化させます。その明快さは最近、日本のろう学校から関心を集めており、ろう学校では江副式教授法を活用しています。

ろう教育への取り組み

ろう学校との取組みでは、実際の授業に江副式教授法を取り入れています。ろう学校からは、定期的に勉強会や学内研修会などにお招きいただき、そこでは重箱カードを利用した授業、品詞の色分けや、活用の可視化等、現場の先生方が江副式をろう児童向けに応用し活用されている様子が伺えます。父兄参加の公開講座でも講師をさせていただき、重箱カードの利用方法や書記日本語についてお話をさせていただきました。

昨今、新宿日本語学校は、佐賀、沖縄、北海道、宮崎等、日本各地のろう学校からのお招きにより、講演・勉強会を行っています。

ろう学校の現役教員の方が勉強会に参加され、その報告を ろう・難聴教育研究会の委員にされたのをきっかけに、2008年7月、第31回ろう・難聴研究大会において、可視化した文法構造に関する発表「分かりやすい江副文法による日本語指導法」を行いました。 その後、2009年2月「乳幼児・児童期の手話・日本語獲得」をテーマにした合同合宿研究会では「江副文法について」という演題で講演をしました。

当校において、平成23年度小学校特別支援指導用教材を作成しました。 「日本語のための日本語文法」である江副文法に基づく日本語教授法を、テキストとDVDで分かりやすく解説した、ろう児童向け国語教材セット『日本語文法の教え方』が、現在日教販より販売されています。